Q&A相続手続一問一答〜遺産分割協議や遺言について〜

Q1 相続とは何ですか?

死亡を原因に亡くなった方の権利義務のすべてを相続人が引き継ぐことです。

Q2 Q1の権利とは?

イメージとしては、亡くなった方の財産を譲り受けることでしょう。無くなった方が不動産等を持っていれば、相続人に所有権が移転します。また、無くなった方が誰かにお金を貸していた場合などは、相続人が亡くなった方の代わりに借金を取り立てることができます。

Q3 Q1の義務とは?

イメージとしては、亡くなった方が生前負担していた借金、という場合が多いでしょう。具体的には、住宅ローンの残債務、被相続人が誰かの連帯保証人になっていた場合の保証債務などが考えられます(他にもたくさんあります)。

Q4 負債が多い場合に取りうる処置は?

相続放棄という方法があります。相続放棄の効果は、「相続開始時に遡って相続人でなかったことと見なす」ことです。つまり、例えば亡くなった方が生前、多額の負債を抱えていた場合などに相続放棄の手続を取ることにより、いっさいの負債を免れることになります。

Q5 相続放棄の具体的な手続は?

亡くなった方の最後の住所の所在地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をします。

Q6 相続放棄ができない場合は?

相続人が、相続が開始したことを知ったときより3ヶ月経過すると相続放棄はできません。ただし、3ヶ月を過ぎたら絶対に相続放棄ができないかというと稀に可能なケース

がありますので、あきらめる前にご相談下さい。

また、単純承認(相続放棄をしないこと)をしたと見なされる場合も相続放棄はできません。この点は注意してください。想定されるケースとしては、生前に亡くなった方が多重債務に陥っていた場合債権者が相続人に対して支払いを請求してきた場合です。ここで支払ってしまうと相続放棄をすることができなくなり、亡くなった方の債務を無限に引き継ぐことになります。

Q7 相続が開始した場合、まず何をすべきですか?

あくまでも一般的な例ですが、葬儀が終わり。四十九日が終わった頃から相続について単純承認するか、相続放棄するかを考えてください。目安としては、相続人の財産と負債を比べ、財産が多ければ承認して負債が多ければ相続放棄手続が理想です。現実には明らかに亡くなった方が多重債務に陥っていない限り単純承認する方がほとんどです。

この点は、上記A6の3ヶ月の期間にご注意下さい。財産と負債のうち、どちらが多いか判断つかない場合には限定承認という手続がございます。また、3ヶ月の期間が迫っている場合には、期間伸長の手続があります。

Q8 相続人の範囲はどうなりますか?

相続人の確定はなかなか大変です。一般的な回答としては、

第一順位が子(複数いる場合、相続分は頭数で割る。ただし非嫡出子で認知された子は
       他の子の半分になる)
第二順位が親(複数いる場合、相続分は頭数で割る。養親・実親問わない)
第三順位が兄弟姉妹 (複数いる場合、頭数で割る。ただし半血兄弟は相続分が半分)
配偶者(妻または夫)がいる場合、必ず第一順位になる
ということになります。

その上で、亡くなった方の戸籍を生まれた頃まで遡って取得した上で相続人を確定します。

Q9 A8で戸籍を生まれた頃まで遡って取得するのはなぜですか?

他に相続人がいないことを証明するためです。仮に亡くなった方に隠し子がいた場合、認知していれば戸籍に記載されます。この隠し子は相続人になります(認知していなければ相続人になりませんし、戸籍には載りません)。

通常、生殖能力のない年齢まで遡ればいいことになりますが、実務上はだいたい出生まで遡って取得することが一般的です。


Q10 相続分を教えてください

法定相続通りに従うと、

相続人が配偶者と子の場合はそれぞれ2分の1になります。
子が二人いる場合は配偶者が4分の2、子がそれぞれ4分の1になります。

相続人が配偶者と親の場合は配偶者が3分の2、親が3分の1になります。
親が二人いる場合は配偶者が6分の4、親がそれぞれ6分の1になります。

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1になります。
兄弟姉妹が二人いる場合は配偶者8分の6、兄弟姉妹がそれぞれ8分の1になります。

実際は、半血兄弟の例、隠し子で認知されている子がいる例、代襲相続など複雑なケースもあります。

Q11 法定相続分以外ではどんなケースがありますか?

相続放棄の他、廃除・相続欠格・特別受益・寄与分・遺産分割・遺言などが考えられます。
それぞれの制度を簡単に説明します。

1.廃除

例えば子が親にに対して、生前にひどい侮辱や非行が甚だしいなどの場合、それでも子は親が亡くなれば相続人として財産を譲り受けることになります。このような場合、その子を相続人から外すことが廃除です。生前に家庭裁判所に申し立てる方法と、遺言による方法があります。

2.相続欠格

例えば、子が親を殺害した場合、その親の相続権を殺害した子が取得するのは、おかしな話です。このように、殺害や、遺言書の改竄など一定の場合においては相続権が剥奪されることがあります。これが相続欠格です。

3.特別受益

生前に、被相続人から、贈与などをあらかじめ受けており、すでに相続分を前もってもらっている、というような場合に、単純に法定相続分通りの遺産分割をすると、不公平が生じますので、この不公平を是正する制度です。なお、不動産の相続登記手続において、一人の単有名義にするためだけに、もらってもいないのに特別受益証明書を書かされるというような、悪用されるケースがあります。

4.寄与分

生前に、被相続人の介護や、事業において重要な働きをしたにも関わらず、相続開始後、単純に法定相続分通りの遺産分割をすると不公平が生じますので、この不公平を是正する制度です。

5.遺産分割

相続人全員で、遺産を分割する合意をすることです。財産だけではなく、負債も分割することができます。しかし、法律上、負債は相続人全員の連帯債務になっていますので、遺産分割で負債を負う人を決めても、その合意を債権者に主張することはできません。なお、合意が成立しない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。

6.遺言

遺言は、遺言者の一方的な法律行為です。遺言者が死亡することで、遺言に書いてある内容が法的な効果を生じます。効果が生じたときには、すでに遺言者は居ませんので、遺言の内容は法定の様式を備えることが必要であり、発生させる法的な効果も全て法律の範囲内に限られます。