どうなる有限会社?!〜新「会社法」の影響〜

新たに成立した新「会社法」では、有限会社が廃止となります。

そもそも、商法の規定は上場するような大会社を想定した規定でしたが、今までの運用は、中小企業が9割以上というのが実態でした。有限会社よりも株式会社のほうが信用性が高い、ということで背伸びをして株式会社制度をとっている会社のほうが圧倒的多数であり、実態は有限会社とほとんど変わらない状態でした。

そこで、「会社法」では有限会社の制度を廃止し、今までの有限会社と同じような制度を株式会社としてとることができるようになりました。

では、今ある有限会社はどうなるのでしょう?
以下具体的に検討していきます。


1.株式と出資口数について
出資口数がそのまま株式と読み替えます。つまり、社員Aが50口、社員Bが50口もつAB有限会社は、株主Aが50株、株主Bが50株もつ有限会社となります。実態は株式会社となりますが、有限会社と名乗ることになります。これを、法律上では特例有限会社と呼びます。

2.資本金
最低資本金制度はなくなります。したがって、最低資本金特例制度を利用している資本金300万円未満の有限会社も、5年内に増資しなければならない、ということはなくなります。

なお、新「会社法」施行後は、株式会社として、1円から設立することができます。

3.商号

現行法では、商号中に有限会社と表示しなければならないことになっておりますが、新「会社法」施行後も、維持されます。

つまり、今まで通り有限会社と表示し、勝手に株式会社と表示することはできません。

4.役員について

取締役
いままで通りです。人数も任期もさだめがありません。新「会社法」では、取締役の任期を最長10年まで伸長することはできますが、特例有限会社のままでいるかぎりは、任期の規定がないため、再任手続は不要となります。

監査役
いままで通りです。監査役を設置するかどうかも自由です。人数も任期もかわりません。

会計監査人
設置することはできません。言い換えると、有限会社のまま、資本金が5億円を超え大会社となったとしても、会計監査人を設置しなくていいことになります。

5.休眠会社の見なし解散の適用について
現行の商法では、見なし解散の規定があります。これは、株式会社の役員には任期があるため、7年以上登記手続がされていない会社は休眠会社とみなされ、登記官の職権にて解散手続がとられることになります。

新「会社法」では、この7年の期間が12年になりますが、依然として見なし解散の制度があります。

しかし、特例有限会社の役員は任期が法定されていないため、見なし解散の適用はありません。

6.決算公告の必要性について

株式会社と異なり、有限会社は決算公告は不要です。また、株式会社では支店にも備え置かなくてはならない計算書類も、有限会社では本店のみとなります。

7.組織再編手続

特例有限会社は、他社を吸収合併、他社の事業を吸収分割による承継、株式交換、株式移転、特別清算手続をとることはできません。

8.社債

旧有限会社は社債を発行することはできませんが、特例有限会社は社債を発行することができます。

9.株式の譲渡制限

従来通り、株主間(特例有限会社では社員ではなく株主になります)の譲渡は自由ですが、それ以外では譲渡は自由です。なお、新「会社法」の規定による株式会社は、定款で自由に定めることができます。


以上、ざっとですが、有限会社が特例有限会社になることで何がどのように変わるかを挙げてみました。



特例有限会社から株式会社にするには

特例有限会社を株式会社にするには、
1.定款変更手続で、商号を有限会社から株式会社に変更する
2.特例有限会社の解散登記と、移行後の株式会社設立登記をする
以上2点が必要になります。

また、現行法で最低資本金特例制度を受けている会社は、解散条項を削除する定款変更手続と、抹消登記が必要です。




どうする有限会社?!

上記をふまえた上で、特例有限会社のままでいるか、株式会社に変更すべきかの選択をすることになります。

1.株式会社に変えた方がいい場合

特例有限会社のままでは組織再編手続をとることができません。また、株式の譲渡制限方法が従来のままです。また、会計監査人や会計参与をおくこともできません。

したがって、ある程度の規模であれば、変更するメリットがあるかもしれません。

2.特例有限会社のままの方がいい場合

大会社の要件(資本金5億円以上等)を満たしても会計監査人や監査役をおかなくてもいいこと、決算公告が不要であること、役員の任期がないこと、見なし解散の適用がないことなどを考えると、小規模な会社を単独または家族、親族のみで経営するような場合であれば、あまり株式会社にするメリットは多くないと思います。特例有限会社の方がかえって効率的かもしれません。

また、新法成立後は二度と有限会社を設立することができません。何十年かしたら「有限会社」とつく商号に価値が出るかもしれません。