離婚協議書の重要性

離婚の際に、多くの場合問題になりやすいものとして、
・財産分与
・慰謝料
・養育費
の問題があります。

離婚の90%が協議離婚なのですが、この3点をきちんと合意しておかないと、後で困った事態に陥る可能性があります。

・財産分与
日本民法では、夫婦の財産は共有となっております。夫婦共同で財産を築いた、とされます。
たとえば、夫が働き、妻は専業主婦だとした場合、収入は夫だけですが、妻の家事があればこそ夫が働くことができる、という考えが、多くの判例です。

したがって、離婚の際、財産を清算するときは、半々に分けるのがほとんどです。

ただし、お金のように、単純に半分に割ることができるのであればいいのですが、家や土地のように半分にわることができない場合もあります。また、不動産を、夫婦共有名義にしている場合は、持分をどちらかに移転する手続も必要です。

このようにして、夫婦間で築いた財産を半々になるように、個々の財産をそれぞれ分割する合意を、離婚協議書に書いておくことで、後日問題がこじれたときに、役に立ちます。

・慰謝料
財産分与と慰謝料は、あくまでも別です。財産分与は夫婦間の財産の清算ですが、慰謝料は、離婚原因がどちらかにある場合、そしてそれが相手に精神的な苦痛を与えた場合に、不法行為による損害賠償請求権としての性質をもつことになります。

したがって、例えば、夫が愛人を作ったために家庭崩壊に陥った場合などは慰謝料を請求することができますが、些細な性格の不一致が離婚まで発展していった場合は、どちらが悪いというわけでもないので、慰謝料請求権はお互いに発生しないことになります。

慰謝料請求権が発生する場合は、離婚協議書のなかで、きちんと明記しておきましょう。

ただでさえ、離婚という事態になり、二人の関係がこじれているなかで、うやむやにしておくと、払えるけど相手方への嫌がらせのために払わない、などということすらあり得ます。

・養育費
離婚の際、未成年の子がいる場合は、養育費の問題があります。

子の親権はどちらがもち、養育費はどちらがいくら払うのか。この点について、きちんと協議書によって定めておくことが重要です。

離婚の際の、子の年齢によっては、10年以上もの支払になります。その間に、不払いが発生しないとも限りません。不払いが発生したときに、きちんと協議書に基づいて請求しないと、しらを切ったり、しらばくれて払わないこともよくあります。



・公正証書
財産分与、慰謝料、養育費のいずれも、お金の支払いに関する合意です。

したがって、後日の支払を確実にしておくためにも、離婚協議書は公正証書にしておくことが望ましいでしょう。

離婚協議書を公正証書にしておくことで、不払いが発生した場合、直ちに強制執行を掛けることができます。

本来、裁判を起こし、勝訴判決をもらわないと強制執行をかけることは出来ません。しかし、公正証書にしておくと、裁判を省略し、直ちに強制執行をかけることが出来ます。

ただし、強制執行をかけることが目的ではありません。きちんと支払うべきものを支払ってもらうのが目的です。

不払いになれば、いつでも職場に差押命令が届く可能性があれば、心理的に、きちんと支払うという効果を期待できます。

しかし、公正証書以外の協議書や、協議書すら作っていない、単に口約束で終わらせてしまうと、しらばくれて払わない可能性も十分にあります。


・契約と自己責任の原則
約束した以上、払のが当然、という考え方の人もいるかもしれません。

しかし、約束を破ってでも、払わなくて済ませられるなら払わないほうがいい、という人もいます。

人間は、人の数だけ価値観があるからです。

そして、離婚に至るほどであるならば、大きな価値観の相違がある可能性があります。それこそ、「払うべき」「払わなくて当然」という感じです。

だからこそ、きちんと離婚協議書を作成しておくべきです。

一昔前であれば、口約束でもきちんと合意の内容通りに支払が行われていたかもしれません。

しかし、今の世の中では、協議書をつくっておかない方が悪い、という自己責任の考え方のほうが強い、という風潮のほうが残念ながら強いようです。

相手を信じているから、協議書をつくらない、という人もいますが、信じているならば、作るべきでしょう。なぜなら、協議書という形にすることに抵抗があるのは、いずれは払わない、ということを言っていることの他ならないからです。自分にやましいところがなければ協議書をつくることに抵抗などあるはずがありません。

親しき仲にも礼儀あり、です。縁があって夫婦となったけど、結果的に別れることになった、最後のけじめです。きちんと合意を協議書にしておきましょう。