自己破産の要件〜支払不能・免責不許可事由〜

1.破産手続の概要

債務者が支払い不能状態に陥ったときに破産手続をすることができます。そもそも破産手続とは限られた財産を総債権者で分かちあうことを言います。たとえば今手元に現金が50万円しかないとします。

具体的には債務者の思っているすべての財産をいったんお金に変えることをします。これを破産財団などと呼ばれています。不動産とか株券等をいったんすべて売却し、そのお金をすべての債権者に平等に支払う手続を破産手続の概要です。

しかし、例えば100万円の借金を5人に対して負っていたとします。この状態で破産手続をすると、借金は500万円あるのに手元には資産が50万円しかないことになります。この50万円をすべての債権者と分かちあって弁済して残りはあきらめてもらう、つまり一人頭10万円で我慢してもらい残りは泣く泣くあきらめてもらうことになります。

ただ、一般の個人が消費者金融などの借り入れが多くこの状態で破産した場合は、債務者の財産をすべての債権者と分かちあうのにもお金がかかりますので、この手続の費用すら出せないことになります。

この場合は破産手続をすると同時に同時廃止と言ってその場で破産手続を廃止してしまいます。実務上は企業などの法人はともかく一般個人が破産する場合は同時廃止になる場合がほとんどです。

実際に破産手続を申立てして破産および同時廃止が認められた場合、裁判所から「債務者について破産手続を開始する。本件破産手続を廃止する」という決定が下されます。理由は「破産財団を思って破産手続の費用を支弁するのに不足する」からです。

では破産が認められて同時廃止になるとすべての借金がチャラになるかというとそうではありません。破産の後に免責許可が下りた時点ですべての借金がなくなります。

免責とは文字どおり責任を免れるという意味でこの免責が下りた時点で初めて借金がなくなります。破産の申し立てをするということはこの免責許可がほしいからするのであり破産申し立てをすると同時に免責許可申し立てもすることになります。

以上がだいたいの破産手続の概要です。

2.破産手続の要件〜支払不能〜

破産をするには支払不能の状態に陥っていることが必要です。支払不能とは身も蓋もない表現をしてしまうと完全に借金で首が回らなくなる状態のことをいます。自分の収入に対してあまりにも借金が多すぎてどうやっても返済できない状態のことです。

実際に破産手続を申立てる際に支払不能かどうかを判断します。仮に司法書士事務所に破産手続を依頼した場合、じっくり話を聞いて資料を一通り拝見したうえでそのうえで支払不能かどうかを判断します。

具体的には本人が支払いの意志であるかどうかという点と、と収入がどれぐらいあるかという点、今の資産がどれだけあるかということも判断します。

仮にお金がどうしてもはわないので司法書士事務所に依頼に来た場合でも、司法書士が受任通知を発送し、債権者から取引経過を開示して利息制限法引き直し計算をしたところ、過払金が発生していた場合などはこれも債務者の資産になるので金額次第では支払不能とは言いなくなる場合もあります。

3.免責とは?〜免責不許可事由と按分弁済〜

免責とは破産の後に免責されることで借金から解放される手続のことを言います。しかし免責不許可事由というものがありこれに該当すると免責が認められないことになります。

免責不許可事由の例は次の通りです。

・財産を隠すこと。
破産手続は債務者の持っている財産を債権者に平等に分配する手続です。なのでこの債権者に分配する財産をかくしてしまうというのは債権者に損害を与えることになるので、財産を隠すと免責不許可事由になります。

・一部の債権者に弁済をしたり、担保差し入れたりする行為。
すべての債権者に平等というのが破産手続ですので一部の債権者にだけ弁済をしてしまうのは他の債権者に損害を与えることになるので免責許可事由となっています。

・多額の借金をしてしまった原因が浪費であったり賭博などの場合であること。
ここでは著しく財産を減少させるという要件になります。ですのでちょっとパチンコにってしまったとかちょっと競馬に行ったとかそういうことがあっても直ちに免責が認められないということにはなりません。パチンコや競馬などで防止した金額が常識的な範囲内であれば免責が認められることもあります。

・破産手続を申立てる日の1年前から破産手続開始の決定があった日までの間に、おそらく破産してしまうだろうと知っていながらも、お金を借りたりすること。
お金が返せる見込みもないのに返せるかなと言ってお金を借り入れることは詐欺です。このようなケースで免責を認めるわけにはいきません。

主要な免責不許可事由はこの通りです。

もし免責不許可事由があったとしても、程度が軽い場合は裁判所が裁量免責をしてくれる場合もあります。また、裁判所の指示によって一定期間給料など新たに手に入れたお金を積み立てて、一定額になった時点で債権者に分配して弁済することを条件に免責が認められる場合もあります。これを按分弁済などと呼ぶこともあります。