敷金は取り返せ!〜悪徳大家からの敷金返還対処法その1〜

東京などをはじめとした大都市で、非常に増えているトラブルが、借家を退去したのに、差し入れた敷金を大家が返還しない、というものです。少額訴訟手続が取られる事件の中では、交通事故による損害賠償請求に次いで多い事件です。

想定される事例

賃借人Xは、賃貸人Yから、次の内容でマンションの一室を賃借した。
・賃貸期間 平成15年2月から2年間
・賃  料 月額8万円、結末までに翌月分を支払う
・敷  金 賃料の3ヶ月分24万円
・礼  金 賃料の1ヶ月分8万円
Xは、期間満了に伴い、平成17年1月31日に、マンションを退去した。
後日、Yから敷金返還の通知を受けたが、原状回復費用として21万円かかったとして、これを控除した額3万円を返還する、というものだった。

1.敷金とは?

敷金とは、不動産、特に家屋の賃貸借に際して、賃料などの債務の担保にする目的で、賃借人が賃貸人に預けておく保証金のことを言います。具体的には、家賃が滞納になった場合や、賃借人が退去したあと、賃借人が乱暴に部屋を扱ったせいで、多めに掛かってしまった原状回復(部屋を、賃貸借以前の状態に戻すこと)費用などの担保となります。

敷金の返還を請求できるのは、賃借人が部屋を明け渡した時以降です。

2.敷金返還トラブルの本質

賃貸借の期間中、特に家賃滞納が無い場合には、賃借人が部屋を退去したあと、原状回復をして、その費用を控除した金額を賃借人に返還することになります。しかし、トラブルになるのは、この原状回復の範囲です。

そもそも、家屋は人が住む以上は当然劣化します。この劣化する分に関しては、毎月家賃という形で大家に支払っている以上、なぜ敷金から控除されなければならないのか、ということです。

また、壁紙を貼り替えるなどをして、これを原状回復費用として請求する大家がいますが、普通に家屋を使用する範囲では、壁紙の張り替えは不要であり、それでも壁紙を貼り替えるということは、物件を必要以上に綺麗に見せることで、新たな賃借人を探しやすくするためでしょう。それは、大家の営業費用であり、それを旧賃借人が敷金から控除される、という形で負担するのはおかしな話です。

3.敷金返還の請求方法

敷金の返還期限は、退去した翌日となります。したがって、退去した翌日以降、敷金が支払われない場合は、催促することになります。催促は、電話などでも応じない場合は内容証明郵便などを送達し、それでもだめなら、少額訴訟手続などの法的手段を執ることになるでしょう。

通常の居住物件であれば、敷金の額は60万円を超えることは多くないため、大抵の場合は少額訴訟手続を取ることができます。賃貸人の住所か、もしくは物件の最寄りの簡易裁判所で、敷金返還請求専用の訴状のひな形がありますので、不明な点を職員に聞きながら記載してください。

4.少額訴訟手続による敷金返還請求

少額訴訟手続ついて詳しくは、他のページをご覧下さい。ここでは、敷金返還請求をするにあたって証明すべき事実を上記事例にしたがって挙げておきます。
・賃借人が賃貸人から本件建物を賃借したこと
 XとYとの間で交わされた賃貸借契約書があれば証明できます。
・賃借人が賃貸人に対し、契約の際、敷金をさしいれたこと
 Y発行の敷金預かり証や、銀行振込の際の振込伝票などがあれば証明できます。
・賃貸借契約が終了し、賃借人が、本件建物明け渡して退去したこと
 Y発行の明渡確認書や、引っ越しの見積・請求書、または立会人がいる場合は、その人の証言などで証明できます。
・賃貸借契約開始から明渡までの期間、賃料及び賃料相当損害金を支払ったこと
 Y発行の賃料の領収証や、振込依頼書などがあれば証明できます。

以上を証明することができれば、敷金返還が認められることになります。

5.大家の反論

上記内容について、大家の反論がない場合は、大家は原状回復費用を理由として支払を拒むことになります。この主張は具体的には次のとおりです。
・明渡、退去した時点において、この部屋に修繕や交換が必要となるくらいの汚損や損耗があること
・この汚損や損耗は賃借人の入居期間中に発生したこと
・この汚損や損耗の程度は、賃借人が普通に使っていることで発生する程度を超えるものであること
・仮に普通につかっていることで発生する程度を超えなかったとしても、賃借人が負担するという特約があること
・この汚損や損耗した部分の修繕や交換のために費用を負担したこと

以上の反論が認められると、原状回復費用の控除が認められることになります。